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「ディン・ディディン、お前は荒くれ者どもをこらしめてくれたんだ。俺からの礼を受け取ってくれ!そして記者であるこのダウニーの質問に答えてくれ!」
俺はコインを投げた。ディン・ディディンは、そのコインを後ろ手でキャッチしてくれたよ。まったくマイペースな野郎だぜ。
「ディン・ディディン質問だ。好きな食べ物は何ですか?」
やべえ、緊張のあまり記者にあるまじき幼い質問をしちまった。ちょっと恥ずかしい。しかし、ディン・ディディンは表情を変えずに歩きながら俺の質問に答える。
「ラーメン大好きディン・ディディン」
答えてくれたー。しかもラーメン大好きだと?これはスクープだ。西部の町を歩いているテンガロンハットでサングラスのひげ面の好物がラーメンだとは。
「記事のタイトルはそんな感じでいいだろ?今、呼ぶ」
そう言うとディン・ディディンはぴーと指笛を吹いた。砂埃が舞う西部の町に似つかわしくない自転車がやってくる。どこからともなくあらわれた自転車には中華飯店の主人っぽいかっぷくのよい東洋人が乗っていた。
「へいお待ち!ラーメン一丁!」
そう言って主人はおかもちからラーメンを取り出し、ディン・ディディンに投げた。ええ?ラーメン投げるってあぶなくない?しかし、さすがディン・ディディンだ。いとも簡単に一回転してラーメンをキャッチ!どんぶりを抱えながら歩きラーメンを始めた。なんて野郎だ、ラーメンを食べながら歩くのをやめないなんて!
「おやっさんのラーメンはうまいんだ。特に太麺がいい。歩きながら食うことで上手い具合に冷めていく。ラーメンは歩きながら食べるのにもってこいだ。おまけにおやっさんは、俺が世界のどこにいてもおかもちかついでラーメンの出前をしてくれる」
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