青春一〇話

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青春一〇話

 はじめに    青春とはなんだろうか?  いろいろな辞書の意味を総合してみれば、若く活力にあふれた時代となるのだと思う。  けれど、きっと青春と言う言葉は、人それぞれに意味の違った言葉なのだと思う。決まった形や答えなんてない、漠然とした言葉。  だから私、この本の筆者である幸手文月は、青春と言う言葉をこう定義する。  高校時代の愛の告白  中学時代までのあまりにも未熟な恋ではなく、大学時代を迎えてからの先を見据えた恋でもない。  もう子どもじゃないと力強く、それでも先が見えているわけでもない不安の中で。誰かを愛し、そしてそれを伝えること。これ以上に勇気と活力に満ち溢れた行為があるだろうか。  異論はもちろん認めるけれど、この本の中でだけは、どうか付き合っていただきたい。  私はこれ以上に青春と言う言葉にふさわしい定義を、他に思いつかないから。  そしてそんな青春を過ごした一〇組の男女の物語を、ここで紡いでいきたいと思う。  彼らが私に彼らの青春を語ってくれた時の、時に恥ずかしそうで、時に苦悩を抱える様で、それでも最後は誰もが幸せそうに語る姿を、私はどの一組も忘れることはできない。     
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