《1》今日も悪夢で会いましょう

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「あー、もうっ! 手詰まりになるの早すぎっ!」 捨て鉢になって後ろに倒れ込めば、フロアベッドの安物マットレスが軋みをあげて、僕の体を受けとめる。 ふわりと立ちのぼるお布団の匂いが、まるで「もう諦めて昼寝でもしちゃえよ」と慰めてくれているようだ。 悪夢にうなされたせいか、たくさん眠ったはずなのに、ちっとも疲れが取れていない感じがする。 起きていたって特別やることもないし、このまま寝直してしまうのも、ありかもしれない。 誘われるがまま、僕はもぞもぞとベッドに潜り込み、パソコンで酷使した目を閉じる。 (ひょっとして気にしすぎなのかな。僕の人形、今のところ悪用されそうな気配ないし。 しょっちゅう夢に出てくるあの男も、僕の妄想が生んだ架空の人物かもしれないし) うじうじ悶々とした、すっきりしないこの気持ちを、標準語では何というのだろう。 栃木弁では「いじやける」と表現するのだけれど。 考えごとをしているうちに、だんだんと意識がぼやけ始めた。 ゆらゆら、ふらふら。 水に投げ込まれたコインのように、不規則に落ちていくような感覚。 すごく心地いい。
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