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出だしから既にイケメンさ全開である。そんな惜しげもなく丸出しにしていいものなのだろうか。ほとんどイケメンの露出狂と言って差し支えない。
先輩はニコニコしながら飲み屋が立ち並ぶ通りの方へ入っていった。僕もそのあとについていく。
すっかり日も暮れて、通りは既にゴキゲンな酔っぱらい達で賑わっていた。先輩はそのあいだを迷いのない足取りで軽やかに抜けていく。まだ寒いというほどでもない秋の風が肌にとても心地よかった。
「たまに行く店なんだけど、俺がちょっと贅沢したい気分になると寄るんだ。そろそろかな。ほら、見えてきたよ」
先輩がそう言って視線を送る先には雑居ビルが立っていた。居酒屋やカラオケなんかが入っているタイプのビルだ。エレベーターの前まで来ると、先輩は慣れた手つきで降りる階のボタンを押した。エレベーターが音もなく上昇し、そして止まった。扉が開くと、そこには黒を貴重としたシックな雰囲気の通路が現れた。落ち着いたバーのような佇まいだ。
「たまに癒やされたい気分の時なんかにここに来るんだよ」
先輩がそう言って通路を進んでいくと、やはりそこはカウンターがあり、その後ろには沢山のお酒が壁に並んだバーになっていた。店内の照明は控えめでとても落ち着いている。ここで再開を祝してお酒を傾けるということのようだ。やはり先輩は洒落ている。女性であればこの時点で先輩に対して恋に落ちる確率は半数を超えるだろう。
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