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僕は呆然とした。椅子に座っていなければ膝から崩れ落ちていたに違いない。そう、それはまさに闇に秘せられた深遠なる世界の秘密を垣間見た瞬間だった。「網タイツ」という名の古のオーパーツを解明した歴史的一瞬だった。僕の中で「網タイツ」という概念が今まさに大転換を迎えている。
世の中にこれほどまでに真剣に女性の網タイツのことを考えている人間がほかにいるだろうか。その真摯な姿勢は、図らずとも先輩を誠実なフェミニストとして呼ぶに十分な貫禄を彼に与えていた。
◇
あまりの衝撃にその後のことはよく覚えていない。だが美女達との会話がその後も盛り上がらなかったことだけは確かである。仕方がないのだ。彼は先鋭的過ぎる。そのセンスの鋭利さ故に、彼は孤高にならざる得ないのだ。
だがしかし、僕はそれを見届けたのだ。見届けた者の義務として、これは語り継がねばならない。
こうして僕は森田先輩の思想、そして足跡などを後世に伝えるために筆を取った。今これを読んでいるあなたに少しでも上手く伝わればと思う。そしていつか彼の業績が世の中で認められることを切に願うばかりである。
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