56人が本棚に入れています
本棚に追加
「お、おいっ!」
「なんか朝から見せつけてくれるね~、兄貴!」
「だーかーら! 茶化すなっつーの!」
「にしし」
少年っぽいこの顔。
髪を切ってから余計に綺麗な顔立ちが目立ち、本当の男子のように見える。
最後の最後に妹はカッコ良かった。これがあいつのモテる所以であって、あいつの自信。
俺はまだまだ兄貴としても、男としても、成長途中だから、妹をちゃんと守りきれないかもしれないけど、妹のことも知れて、玲や千鶴とこんなにも仲良くなれて、これから良い高校生活を過ごせそうだ。
本当に来年までに、俺は良い男にならないとな!
「さー! 今日も勉強頑張りますか!」
「私も久しぶりに勉強頑張ろうっと! ずっと落ち着かなかったし」
「おう、いさみは勉強マジで頑張れよ。成績あんまよくないからなお前」
「うるさいなもう!」
「あはは! 私も頑張るんだよ! わからないとこあったら私が教えてあげるよ!」
千鶴が妹の腕に絡んで言う。
「僕も先輩に負けないくらい頑張ります!」
「いや、玲は俺より絶対良いだろう……」
言って俺たちは青春の学び舎に仲良く向かった。
秋の朝は清々しい。俺の心も爽やかだった。
もう強がりの妹が独りにならないよう、ずっと傍にいよう。
俺たちの未来も淡い恋も、まだまだ始まったばかりだ。
<完>
最初のコメントを投稿しよう!