妹の恋人事件

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「う、うううー」  青春真っ只中な俺、高岡一(たかおかはじめ)はどうやら夢の中にいたらしい。  嫌な夢を見た。あの時の夢。まだ頭がはっきりしない。  その時、ジリリリリと目覚まし時計が鳴った。寝ぼけ眼で乱暴に時計を止めると、目を開ける。  すると目の前には誰かのシルエットが目に入った。  それは俺の毛布を剥がし、俺の下半身をまじまじと見ている妹のいさみがいた。  感覚ではパンツもしっかり下されている。  は!? なんで俺、パンツ脱がされてんだ!? 「うぎゅあああああああっ! な、なななな! なにしてるんだいさみ! て、てめええええ!」  急いでパンツを上げて戦く。急いで上げたからなんだか収まりが悪い。  反して妹は涼しい顔をしながら、 「どーせ使ってないんだろ? いいじゃん、別に減るもんじゃないし」 「減ったわ! 今のでだいぶ縮んじまったよ!」 「身長の割りにチン長は長くなかったよ。兄貴は図体だけなんだなー」 「うぐ……お前、人が気にしていることを……」  言うと、妹は俺の毛布を一気に剥がして、 「つか、早く起きないと千鶴ちゃん迎えにくるんじゃないの? ギリギリの時間に目覚まし合わせるのやめたら?」 「うお! そうだった! 今日は母さんいないから早く起きないとだった!」 「そうだよ。じゃ、先に用意しているから、早くこいよー」 「わ、わかった!」  言って、妹は俺の部屋から手を振り降りていった。  先ほどまで俺の大事なものを観察していたのが嘘のように、しれっと降りていく。  俺は、朝から嫌な夢を見て、しかも妹に下半身事情を知られ、まだ全身が火照っている。  妹は何事もなかったかのようにしているが、俺からしたらマジで一大事だ。  妹とは云え、下半身を見られることも、そりゃあ……他人にも見られることなんてまずないのに、その上、さっきの夢で問いかけてきた妹の手前、どうリアクションを取ればいいのか。
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