告白

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「はじめちゃん? なにやっているの、靴箱訝し気に見つめて」 「ん? うお! あ、兄貴がラブレター貰ってる! うわああ! なんて非現実的な朝なんだ!」  何か外野が煩い。 「ちょ、は、はじめちゃん、大丈夫? 灰のようになっているよ?」  妹の発したラブレターという単語が脳に届くと俺はその手紙を手に取った。 「……やっぱり、これ、手紙だよな……?」 「まさかだよ! 兄貴、なにしたの? 誰か脅したりしたの!?」 「するか!」  封筒を裏側も見てみる。でも、そこには名前も書いていなかった。 「誰からなんだよ! 教えろよ!」  妹は俺の手紙を奪っていく。 「ちょ、やめろよな! なんでお前に言わないといけないんだよ! これは俺が一人で読む義務があるもんなんだよ!」  俺の剣幕に圧された妹がおずおずと手紙を返した。 「ま、まぁ……そうだけど」 「そういうことだから! じゃあな!」  言って俺はそのまま教室に向かってダッシュした。 「……いいの? 千鶴ちゃん」 「え? なんで?」 「……んーん。なんでもない」  後ろから二人の声がなんだか聞こえたが、正直今の俺にはそんなこと気にしていられなかった。
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