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教室に入り、動揺を悟られぬよう、クラスメイトにたどたどしく挨拶をすると、一目散に自分の席に着き、わざとらしく普段読みもしない教科書を開く素振りをして、教科書に問題の手紙を隠して封を解いた。
すると中から出て来た手紙は一枚で、綺麗な文字がしたためられていた。
(え、えーと……高岡一様、突然のお手紙、すみません。入学したときから気になっていました。もし宜しければ、一度お話がしたいです。今日の放課後、屋上で待っています。 1ー5 中郷玲)
うおおお……本当に告白の手紙だ……。なんだか本当、感無量って云う感じだ。
ついに来たんだ! 俺の青春!! 神降臨と云わんばかりのこの現実!
アキラちゃんかー! レイちゃんかな? どっちにしても可愛い名前だなぁ……くはあっ。
一年五組ということは、普通科だ。絶対一目惚れってやつだよな~これ。
俺に一目惚れをしてくれたんだ。素直に嬉しい。
どうだ、俺だって需要はあるんだぞ、妹よ。
俺は心の中でドヤ顔を決める。
今日の放課後が楽しみで仕方がない。
人生初の呼び出しで舞い上がってしまう。ドキドキして堪らないぞ。
どんな子だろう? 可愛い子だったら嬉しいなあ!
俺は何度も何度も手紙を読み返し、勝手ににやけてしまう顔を抑えるのが大変だった。
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