告白

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「可愛いだろ?」  妹が照れながら笑顔で言う。 「あ、ああ」  なんだか、妹がとても嬉しそうだ。それに俺に紹介してきたということが素直に嬉しかった。  少し前までは絶対出来なかったことだ。  ここまで妹が俺に心を開いてくれているのがとても喜ばしい。 「で、手紙。なんだったんだよ」 「あー! そうだったー!」 「可愛い子だった?」 「……可愛かったと云えば可愛かったんだけど……」 「ん? 性格が悪かったのか?」 「え、あーいや。性格も良い感じだった」 「じゃあ何がいけないんだよ! 兄貴、自分のスペック理解して言っているのか?」 「いや、なんつーか」 「なんつーか?」 「……男の娘、だったんだ」 「は? マジでか! くくく。やるじゃん、兄貴!」  バン、と背中を思いっきり殴られる。 「やるじゃんじゃねーよ。本気で悩んでいるんだぞ!」  ――お前のせいで、と言いかけて止めた。 「これは血筋なのかも知れないなー……」  言いながら嘆息した。  本当にこういうのが絡んでくるのは血筋な気がした。  妹は項垂れている俺の姿を見て、 「で、断ったの?」 「断ったら、デートしてくれって」 「え? デート?」 「ああ。俺がその子のこと知らないから付き合えないって言ったら、デートしてくれたらまた告白するからそれでダメだったら諦めるっていうからさ」 「そういうことかー。あ、じゃあさ!」 「ん?」 「ダブルデートってことでどう!?」 「は?」  俺は呆気に取られた。ダブルデート? どういうことだ?
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