56人が本棚に入れています
本棚に追加
同じタイプの人にしかわからない、何かそういう雰囲気でもあるのだろうか。
妹がそう思っていた玲くん。
やはり、玲くんは妹と同じGIDなのかも知れないな。
そうこうしていると俺たちは大通り沿いまで辿り着いた。
「じゃあ、私はここで」
妹の恋人の乃蒼ちゃんが言った。
「うん、じゃあまた明日」
「うん」
どうやらここでお別れらしい。
すると妹が周りを見渡して何かを確認すると、乃蒼ちゃんの腰に手を回して……
キスをした。
「!」
俺はそれを見て目線を泳がす。
呆気に取られながらも、見てはいけないものだと認識して顔を反らす。
「いっちゃん、ダメだよこんなところで……」
「ごめん。だってしたかったからさ」
「もう……じゃあまたね」
「うん。またね」
二人は手を振って乃蒼ちゃんは俺たちとは反対方向へと歩いて行った。
「さて、帰るべ」
言って何事も無かったように歩いて行く。
「って、お前さー……」
「なに?」
「いや……なんかすげーわ、お前」
俺が肩を落としながら言うと、妹はさっきまでの堂々とした姿とは反して、ぽそりとどこか切なそうな面持ちで、
「思い出」
「は?」
「思い出作り」
「どゆこと?」
「そーゆーこと」
「? よく分らんぞ」
「……恋なんていつ終わるかわかんないよ」
「はあ。モテる男は辛いっすねー、いさみサン」
「あはは」
そう笑う妹の顔はどこか悲しげだった。
俺にはどうしてそんな顔をするのか、理解が出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!