告白

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 玲くんは俺をすぐ見つけるほど、周りを気にしてずっと待っていたんだ。  それに十分前に着いた俺たちよりも早く待ち合わせの場所にいてくれたんだ。 すごく楽しみだったんだろう。  それはそれで……嫌な気はしない。 「先輩! こんにちは! 今日は宜しくお願いします!」  ぺこりと玲くんは丁寧に頭を下げる。 「おっす。今日はこちらこそ宜しく」 「はい! 妹さんも初めまして。今日は宜しくね」 「うん。こんな兄貴だけど、仲良くしてやって」  バン、と俺の背中を叩く妹。 「いて」 「にしし」  相変わらず少年っぽく無邪気に笑う。  妹は俺のデートを同行するのを買って出たのも、俺のあたふたする様を単に見たかっただけなのかもしれない。  今日の玲くんの格好は、ボーダーのカットソーにサルエルパンツにスニーカー。  なんだかオシャレだぞ、この子。 「あ、玲くん。今日は妹たちが行くところ決めてくれたから、それで良いよね?」 「あの、先輩」 「ん?」 「あ、玲って呼んで下さると嬉しいです……」 「玲……う、うん」 「あは。嬉しいっ」  俺に名前を呼び捨てで呼んで欲しいと言われてそう呼んでみる。 滅茶苦茶恥ずかしいんだけど。  それを聞いた玲は照れていて、はにかんで笑う。玲が私服なのも手伝って、柔らかい物腰が妙に色気を感じる。少し、不覚にもドキっとしてしまった。  冷静になれ、俺! 「じゃあ、行こうか! 玲くん、甘いもの大丈夫?」  言いながら妹が先を行く。案外ちゃんとエスコートしてくれそうな妹に感謝。 「うん。大丈夫だよ。むしろ好きな方」 「そっか! だと思ったよ」  にこりと笑って妹が言う。それを聞いて、玲が俺に尋ねてきた。 「あの、高岡いさみさんですよね? 先輩の妹さん」 「ああ。そうだけど」 「いさみさん、カッコいいですよね」 「え?」 「学校でも目立っていますし、あんな風になれたら良いなって思います」 「そうなのか? 玲だってカッコいいけど」 「……有難うございます」  言ってなんだか苦笑いした。あれ……意外な反応が返ってきた。  俺、何かいけないことを言ってしまったのだろうか。  なんだかよくわからず少し気まずくなってしまった。
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