告白

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 しばらく沈黙が続いて歩いていると、パンケーキが名物の店に着いた。  そこは駅前にあるガラス張りで作られた、白と赤でコーディネートされている装飾が都会的な印象の大きなカフェだった。  ガラス張りだから中がよく見えるが、OLさんたちや、カップルなどで賑わっているおしゃれ感が半端なくて、大人な雰囲気が漂っている。普段、友人で入るのはまず躊躇われるような店だ。 「ここ! ウマイらしいからここにしよう」  先行く妹と乃蒼ちゃんがカフェの前で指を差す。 「わあ! ここ、僕一度来てみたかったんだあ! よくテレビで紹介されていますよね! わーい!」  玲もそれに飛びついた。 「じゃあ入ろうか」  俺が言うと、玲が満面の笑みで、 「はいっ!」  言って店の中に入って行った。 平気に入っていく三人の気がしれない。そう思うが、楽しそうにしている玲を見ていると、 「人生初のカフェか……よ、よし……」  こんなオシャレな店、絶対いつもなら入らない。それに勇気を出す。  俺は何かの暗示なのか、どうやら玲の一挙手一投足が可愛く見えてしまい、いちいち胸が煩くなる。 身体も心も女子が好きな俺でいられるのか、心配になるほどに。 そんなことを思ったら玲にも悪いけど、俺にはまだそういう覚悟っていうものが出来るようにはできていない……。 自分の心に何度も問い掛けながら、気合いを入れて店内へと入る。  店内に入ると、より大人な雰囲気をかき分け、壁際の席へと通された。  そこに四人座る。俺と玲と並び、妹と乃蒼ちゃんとで座る。  メニューを貰うと、妹と乃蒼ちゃんが楽しそうにひとつのメニューを一緒に覗いていた。  玲は目を輝かせながら一人でメニューを持って選んでいる。  俺はと云うと、甘いものが苦手だから、甘くなさそうなパンケーキが無いか探していた。 「決まった?」  妹が俺たちに問いかける。
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