告白

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「あの……いさみさん。聞きたいことがあるんですけど」 「ん?」 「その、坂上さんとお付き合いしているんですか?」  言われた妹は少し驚いた様子だったが、すぐに笑顔を向けて、 「うん、そうだよ」 「そうなんですね。やっぱり、そうだと思っていました」 「え?」 「その……なんとなく、僕に似ているなって前から思っていたから」 「そっか。実は私もそうだったんだよね」 「え?」  今度は玲が少し面を食らった様子だったが、すぐに微笑んで、 「やっぱり、分るんですね。そういうのって」 「みたいだね」  二人はお互い顔を見合わせて笑っていた。  この前、妹が言っていたことだと思う。同じ匂いがしていたというあれだ。  俺には全く分らない感覚だが、同じ性質を持った人間同士、そういうのに敏感になるのかもしれない。  それから俺たちは食事をしながら学校のことや、趣味の話をして暫く談話すると、店を出た。  店を出たあと、俺たちはデパートに向かった。  そのデパートは若い女の子たちが買い物をしに行くメッカとなっていて、男の俺は一人じゃ絶対に入りたくない場所だ。 何故なら、どこを見渡しても、女の子だらけで、男はカップルくらいじゃないと見かけないからだ。  妹たちがエスカレーターに乗り、後ろを向いてこちらに話し掛ける。 「玲くんはオシャレだから服とか小物とか好きなんじゃない?」 「うん。好きだよ」 「ここにさ、可愛い雑貨の店があるんだ。乃蒼がすごく好きでさ。よく付き合わされているんだよね」 「もう、いっちゃん。付き合わせてばかりで悪かったわね」  ぷくっと膨れる乃蒼ちゃん。普通に可愛い。 「悪い悪い。でも好きでしょ? あそこの店」 「好きだけど!」  妹カップルも微笑ましい限りだ。でも、その雰囲気が柔らかくて微笑ましい。 「ふふふ」  隣で玲が上品に笑う。玲は楽しそうだ。  それを見て思う。 多分、妹は玲の好きそうなものを選んでいる気がした。  
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