告白

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「それは良かった」 「それで先輩」 「うん」 「好きです」 「うん」 「でも」 「ん?」 「今はこのままで良いので、お友達でいてください」 「……玲がそれで良ければこちらこそ」 「ふふ。やった」  玲が小さく微笑んだ。微笑んだあと、ゆっくり空を見上げていた。 潤んだ瞳から涙が零れてこないように。その姿に胸が張り裂けそうになる。 このまま何故か抱きしめてやりたくなる俺っていけないのだろうか。 それを抑え、声を上げた。 「よし。寒くなってきたし、帰るか!」  勢いよくベンチから立ち上がった。 「はい! あ、先輩っ」 「ん?」  呼ばれて俺は玲の方を向く。  瞬間。  頬に暖かくて柔らかいものが触れた。 「!」  ちゅ、と音を立てて玲の唇が離れた。 「じゃあ先輩! また学校で!」  言って手を振って走って離れていく玲。 ――え? 「あ、ああ……」  きょとん、として手を振りつつ俺は一人残される。 「今の……キス、だよな……」  玲の唇が触れた場所を手で触ってみた。 「っ??!」  一気に顔が熱くなった。  状況がいまいち分っていなかったが、自分がされたことの把握が出来てくると、恥ずかしくて死んでしまいそうになった。  でも、何故か嫌じゃなかったんだ。
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