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すると玲が妹を宥めるように、
「いさみさん。とりあえず、坂上さんに謝りましょう。それで、話し合って、ゆっくり進めて行けばいいんじゃないですか?」
言うと、玲が言ったからか、妹はどこか渋々納得した様子で、
「……うん……そうする」
「はい。いさみさんは偉いです」
「はぁ……玲くんには敵わないなあ……」
言って苦笑いを浮かべる妹。
「よし、じゃあ帰るか!」
俺が今までの暗い雰囲気を消し飛ばすかのように元気に言う。
「兄貴! 玲くんと私、マックのシェークが飲みたい!」
「はあ!? また俺に奢らせるのかよ! 俺の財力、乏しいんだぞ!」
「いいじゃん! ね、玲くん!」
「あ、もしかして新作のシェークのことですか!? 僕、飲みたかったんです!」
玲まで楽しそうにしやがって……。
「わあーったよ! じゃあさっさと行くぞ!」
「やった!」
「せ、先輩、僕は自分で出しますから!」
「すまん……そうしてくれると有りがたい……」
「いえ! 僕は先輩と一緒に寄り道出来るのが嬉しいので」
「フュー! 兄貴、モテモテじゃんっ☆」
「茶化すなっつーの」
照れながらも俺たちは三人で寄り道を決行することになった。
とりあえず、玲がいてくれて良かった。
妹の機嫌もなんとか回復したようだ。
……それにしても、本当、最近の乃蒼ちゃんはどこかおかしいかもしれない。
あの男子生徒と、何があったのだろう。
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