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次の日、今日は妹も一緒に登校してくれた。
くれた、ってなんだか俺がそれを心待ちにしていたようで、兄貴として情けないが、ちょっと……いや、すごく、嬉しかった。
今日は千鶴も一緒で、三人で久しぶりに登校している。
しかし……なんだか妹の様子がおかしい。
どこか落ち着きがなく、心配そうにしていて、何度もため息を漏らし、スマートフォンの画面ばかり見ている。まあ、それはいつものことなんだが。
「おい、いさみ。お前どうしたんだよ?」
「うん、なんだかいさみちゃんらしくないんだよ? 何かあった?」
「……それがさ、昨日家に帰って乃蒼に謝りのメール送ったんだけど、返事が来ないんだ……」
そしてまた嘆息する。
「返せない時もあるんじゃないのか?」
言うと妹はかぶりを振って、
「だって、その後、電話もしたけど出ないんだ。何度もしたのに、それで気付かないなんておかしいじゃないか」
「もしかしたら携帯の調子が悪いのかもよ?」
千鶴も慰めるように言う。
それでも納得してない様子の妹が、
「うーん。とりあえず学校着いたら謝りに行く」
「そうしろよ。後々になるともっと謝りにくくなるからな」
「うん」
妹は持っていたスマートフォンをポケットに仕舞った。
「それにしても、はじめちゃん」
「なんだ? 千鶴」
「昨日は私を抜きにしてシェークを飲んだらしいじゃない」
「は? お前、委員会で遅くなるって言ったじゃないか」
「ふーん。良いんだもん。お昼だって玲くんとラブラブだったらしいし、お姉さんはどんどん成長していくはじめちゃんが嬉しくて嬉しくて破裂しそうなんだよ!」
「お前、それ全然嬉しがってねえじゃねーかよ! それに玲とは別にラブラブとかじゃねーし。あいつは色々俺の心配をしてくれていてだな」
「知っているもん。別に怒ってなんかないんだよーだ」
イーッと口を一文字に結んでほっぺたを膨らませてなんでか不貞腐れる千鶴。
そんな千鶴の頭をポンと叩いて、
「はいはい。千鶴も可愛いよ」
「はえ!?」
俺が何気なく言った言葉に驚いて顔を真っ赤にする千鶴。
「あーにきぃ~。なかなかレベルアップしているじゃん。にしし」
妹にからかわれ、急に自分の言った言葉で恥ずかしくなってきた。
「あーはいはい! もう、さっさと学校行くからな! って、あれ? あそこにいるの乃蒼ちゃんじゃね?」
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