ピリオドとスタート

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「せんぱーい!」 「あれ? 玲? なんで玲がこんなところにいるんだ?」  前方から見慣れた顔がやって来たかと思えば、それは玲だった。  玲は顔を綻ばせながら、 「先輩! おはようございます。ちょっとこっちの方に寄る用事があったので、先輩の家の方まで来てしまいました」 「え? でもなんでお前俺の家の方を知って……」 「あ」 「お?」  ぎくり、と玲がしまった、というような顔をした。  ……こいつもしかして……。 「もしかして玲。俺のことつけていたことあったりする?」 「え! え、あの、えっとー……はい。すみません……」 「ホントにお前、アクティブだなー……」  なんだか、もう、笑えてしまう。 「すすすす、すみません! でも、一回だけですから!」 「いや、一回でもしたんだよな? まあ、もう時効だ時効! 良いよ、気にしなくても」 「ごめんなさい」 「おう」 「それに、いさみさん、髪切られたんですね!」 「うん、切ったよ! どう? 似合う?」 「似合います! その方がなんだかいさみさんっぽいですよ」 「有難うー! 玲くんも可愛いよっ!」 「わあ~! いさみさんに褒められちゃいました、先輩」 「ホント、お前は誰にでもそういうこと照れずに言えるよな」 「別に悪いことじゃないんだから、そういうことは口に出すべきなんだよ、兄貴。そんなことじゃ非モテ脱出にはほど遠いよ」 「うるせーなほんとに。これから磨いていくんだよ」 「はじめちゃんはモテテク磨いてどこに向かっているのかな?」 「さー、どこでしょう」 「いさみちゃん! はじめちゃんがなんだか色気付いているんだよ!」  千鶴が両手を上げて抗議する。その千鶴の耳に妹が近づいて、 (千鶴ちゃんのためにかもしれないよ)
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