ピリオドとスタート

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 まさかの妹からの攻撃。  それを聞いてつい、俺は吹き出しそうになった。  玲と千鶴は逆に心配するように二人を見ている。 「って、乃蒼も良い女だったよ。今まで有難うね」  言って乃蒼ちゃんの頭をポンと叩いた妹。  乃蒼ちゃんはそれを見て少し潤んだ瞳をしながら顔を真っ赤に紅潮させた。 「いっちゃん……ごめんね……本当に……ごめんね……」  乃蒼ちゃんは涙をはらはら流した。 「もう良いって。乃蒼に泣き顔は似合わないよ。幸せじゃなかったら許さないよ」 「う、うん……」  乃蒼ちゃんが涙をぐっと堪えていた。妹は始終、優しい目をしていた。俺が辛くなるほどに。 「じゃ! 兄貴たち、行こうぜ!」  言っていさみは颯爽に歩いて行った。 「いさみちゃん待ってー!」   千鶴と玲が妹を追って駆けて行く。  俺は乃蒼ちゃんの前でポツンと残された。 「乃蒼ちゃん。そういうことだってさ」 「はい……やっぱり、いっちゃんは良い人でした」  乃蒼ちゃんは涙を拭うとそう言って少し笑った。 「うん。そう言ってくれて有難う。でもなんであんなこと言ったんだよ?」  すると乃蒼ちゃんが俯きながら、 「私、昨日のお兄さんの言葉を聞いてから考えたんですけど、やっぱりいっちゃんのこと本気で好きだったなって思ったんです」  それを聞いて俺は正直、何を今更、と思った。続けて乃蒼ちゃんが、 「私、優越感に浸っていたんだと思います」 「え?」 「いっちゃん、すごくモテるから、その人の恋人でいられることに優越感を感じていて、それで有頂天になっていたのかもって、昨日お兄さんに問いただされてそう感じたんです。それに、やっぱり同性で付き合うっていう勇気は私には無かったんだなとも思いました」 「え?」 「いっちゃんも、同じように、私との関係を誰にも言えなかったはずだし、でも、それでも私のこと一生懸命愛してくれていたいっちゃんに応えるほど、私は出来た人間じゃなかったんです。でも、信じてください! いっちゃんのことは本当に好きだったんです!」 「………わかったよ」  そうか。乃蒼ちゃんは乃蒼ちゃんで自分に対して悩んでいたんだ。
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