6.

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 しかし、実際には江波と吉澤との関係は終わりが近づいていた。  後を継ぐために実家に戻る話や、婚約者もいるという話は聞いていた。  それでも、互いに愛し合っているから、いつかは実家に連れて行って紹介もすると、吉澤は言い続けていたが、実際には、それも出来ないうちに、吉澤の父親が倒れてしまった。  吉澤はまずは自分が様子を見てくるから、と言って一度実家に戻ったが、結局、入院している父親とはまともに話すこともできず、α至上主義の母親には、「Ωなど連れてきたら、お前に後は継がせない」とけんもほろろに追い返されてしまった。  このまま、吉澤は父親と話もせずに終わるのか、と思っていた時、深夜に婚約者がわざわざ吉澤のもとに、危篤の知らせと共にやってきた。 「私と一緒に帰れば、きっと許してくださいます」  彼女の言葉を素直に信じた吉澤は、江波に「行ってくる」と言い残し、帰っていった。  しかし、それは婚約者と母親による作戦だったというのに気が付いたのは、三か月ほど経ってからのことだった。
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