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カウンター席なので、店主がテキパキと動いているのが見える。
ビニール手袋をはめて炊飯保温機を開け、湯気の立つご飯を素早く握っていく。
そういえば、家でしばらくご飯を炊いてないな、、と美帆はぼんやり考えた。
実家が米農家のため、定期的に母から精米したての米が送られてくる。
しかし最近は自炊する余裕もなく、自宅の米びつの中身は減らないままだった。
「お待たせしましたー。麦味噌汁のセットです!」
ハキハキした声に我に返ると、目の前にお盆が置かれた。
空腹だったことを思い出し、口の中に唾が出る。
「…いただきます」
手を合わせて小さな声で呟き、予想していたものより大ぶりの鮭おにぎりに齧り付いた。
「ふぁつっ」
熱々のご飯で口の中を火傷しそうになる。
はふはふと空気を吸い込みながら咀嚼すると、パリパリの海苔、鮭の塩味が同時に感じられた。
美味しい!!!
思わず夢中になって二口、三口と齧り付いてしまう。
味噌汁も、少し熱めの汁に麦味噌の甘みが感じられて、身体の中から温まる感じだ。
そういえば、九州にある美帆の実家も、味噌汁と言えば麦味噌だった。
東京では麦味噌はなかなか売っていないので、久しく 味わっていなかった。
懐かしい味に顔がほころぶ。
横の小皿には香の物が付いており、胡瓜と茗荷とセロリの浅漬けだった。
出汁と塩気のバランスが丁度良く、カリカリとした歯ごたえも心地よい。
がっついたつもりはなかったが、あっという間に食べ終えてしまった。
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