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幸せいっぱいの時の言葉も、ケンカの末に吐き出された言葉も、変わらない気がして。
よくわからない、もやもやした感情がわたしを責める。
「なんなのって……」
それってもう、別れたいってことだよね。
もう一緒にいたくないってことだよね。
プツプツと生地に穴が見え始めて、ホットケーキを返しながら、またため息が出てしまった。
「ほら、失敗」
ムラのある焼け方。いびつな丸い形。美味しそうなんて、お世辞にも言えない。
今日三度目のため息が零れた。
「……どうしてかな」
晴斗先輩が寝ているであろう部屋を見たら、涙が溢れてきた。
涙がフライパンの中に落ちて、ジュワって音をたてる。
すぐに消えちゃう涙。すごくあっけなくて、急に寂しくなる。
「なんで、失敗しちゃうんだろう」
お皿にのせたホットケーキは、まだら模様。
一枚目は必ず失敗。そんなこと、わかってた。わかっていたはずなんだ。
わたしは構わず二枚目を焼くことにした。
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