2113年の僕ら

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嬉しい事に、日本国が午後八時になり、やっと仕事が終わる。  つまり、朝八時から十二時間も会社に拘束され、昼休みが一時間の他に休憩なしと言う我慢大会から解放される。  日々こんな生活を続けて居れば、なんか、奴隷になった気分になる。  そう言えば、大昔にピラミッドとかを造っていた国では、給料を塩で貰っていたそうだ。サラリーの語源は塩らしい。その当時なら、塩を何㌘貰えたんだろう? ちなみに、今は時給九百五十円の日給月給になる。  僕は、とりとめの無い事を考えながら、ロッカールームで帰り支度を整えていた。 「ハジメちゃ~ん、お疲れさま」  同僚が集まり挨拶するのだが、妙に親しげで馴れ馴れしい。  まぁ、今日で会社に来るのは最後になる予定なので、仕方がない。とはいえ、最後の日と言ってもリストラとかではなく、正確にはもう二度と来ない訳でもない。  二十歳になった僕は、国民の義務として徴兵検査に行く。受かれば、二年間の軍隊生活が待っていて、大抵は受かる。  その間、会社は休職扱になり、嬉しい事に給料は塩で貰える。いや、間違い。毎月一定額を振り込んで貰える。   「蟻退治をよろしくね~」
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