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『ほのぼの』という言葉が言い得て妙だと、蓮と桜香はよく言われる。
そんな2人がほのぼのと会話を楽しみながら歩き、ようやく辿り着いたのは大きくて立派なマンション。
なかなか高さもあるそれは、コンシェルジュこそいないものの、高級感がある落ち着いたところだ。
「お医者さんは、やっぱり儲かるんだね」
「……蓮くんには言われたくないと思う」
そんな会話を零しながら、栞奈にエントランスを解錠してもらい、2人はエレベーターに乗り込む。
蓮は『閉』のボタンを押して、そのまま壁と自分の間に桜香の身体を閉じ込めた。
所謂『壁ドン』状態だ。
流行っているというには、もう浸透しすぎていて新鮮味は薄れつつある気もするが、蓮はこの体勢が気に入っている。
桜香のお気に入り、ではなく、蓮のお気に入り、だ。
というのも、挙式をあげたその日。
事務所の社長からプレゼントされたホテルの部屋へ向かうエレベーターの中で、こうして壁ドンをしてキスしたところ、予想以上に恥ずかしがり、更に予想以上に蕩けた表情をしたため、病み付きになったのだ。
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