1人が本棚に入れています
本棚に追加
暖かいシャワーを浴びると、幾らか固まった体がほぐれて、心拍も正常な域へと戻った。両親と顔を合わせて小説通りの行動をされても嫌だったので、そのまま二階の自分の部屋へと向かった。そして、ドアを開ける勢いでベッドに倒れ込む。
「なんなんだよ……アレ」
枕に顔を埋めると、抑えていた感情が堰を切ったように溢れ出した。
「気持ち悪い……誰だよ、あんなことしたのは……ホント気持ち悪い」
感情の吐露と共に興奮してきて、呼吸の回数が多くなり、過呼吸によって頭がパニックを起こしかけた。それを僅かな理性で押しとどめ、仰向けになって天井を仰ぐ。
すると、自分が何をしているのかがわからなくなってきた。自分は何に怯えているのだろうか、自分は何の意思に踊らされているのだろうか、自分の周りで何が起きているのだろうか。
そして、この先何が起きるのだろうか。
そう思って、スマートフォンを手に取った。もしかしたらあの小説が更新されているかもしれない。それを読めば、この先どんな偶然の一致が起きるのか分かるかもしれない。
震える手でパスコードを入れ、ブラウザアプリを起動、ブックマークから小説投稿サイトに接続、ログインして『I will change.』のページを開いた。
「あ……」
投稿された話は2つあった。一つ、『見知らぬ小説』これは今さっきまでの偶然の一致が書かれていた。その話の上に、赤文字で『予約投稿 0:00』と書かれた話があった。
最初のコメントを投稿しよう!