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彼の子を身籠りたいと心から願う天使の俺、他の男と交わって壮登の子だと偽りながら仮初の幸福に身を置けばいいという悪魔の俺。
電車を降り、どこをどう歩いてきたのかも覚えていない。そこはもう自宅マンションの前だった。
エントランスで住人だけに与えられた暗証番号をタッチパネルに入力する。
その指先さえも震え、視線も定まらない。
目の前で自動ドアが開き、柔らかいフレグランスの香りが鼻腔をくすぐる。
その瞬間、俺は何かに憑りつかれたかのようにすっと背筋を伸ばしてエレベーターに乗り込んだ。セキュリティ強化のため、あちこちに設置された監視カメラにこんな情けない姿を晒すわけにいかないと、壮登の伴侶としての自覚が無意識に動いた。
とにかく、この体の中で渦巻いている熱を何とかしたい。
俺は部屋にたどり着くなり、着ていたスーツをその場に脱ぎ捨てるとバスルームへと向かった。
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