5. 継ぎの竜

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 手を伸ばせば触れられる距離。  俺はそっと、その大きな鱗の一枚を指先で撫でた。黄金色の目が、静かに微笑む。  この竜の子。俺の子。  望まれて産まれてきた、愛らしい子。 「……〝エメ〟」  思いついたのは、その名だった。 「えめ?」 「そう」 「どういう、いみ?」  無邪気な瞳に、子どもらしい無防備な額に、俺はそっとキスを落とした。 「愛だよ」
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