夏模様

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池田屋と四国屋。 二手に分かれて攘夷志士の捕縛にあたる。 俺の任された四国屋は残念ながら外れで。 それならば近藤さんの率いた隊の向かった池田屋が当たりなのだろう。 夕刻から始まった討ち入りだが、既に辺りは暗闇に包まれている。 ーーヒュー……ドンッ。 花火が、上がり始めた。 夜空にいくつもの赤い華を咲かしていくその様は少しだけ不気味だ。 こんな日だと、赤は血の色に見えて仕方ない。 『トシさんの目、真っ直ぐで綺麗』 女の言葉を思い出す。果たしてあれにどんな意味があるのかは、今ではもわからない。 「副長!」 池田屋の方から隊士が一人、駆け寄ってきた。 「現在池田屋組は交戦中! 負傷者も多く出ています!」 「わかった。おい、急ぐぞ」 池田屋はもうすぐ目の前にある。 走って池田屋に向かう途中。 また花火が上がって、辺りが一瞬明るくなる。 特に意味はなかった。 なんとなく直感で、傍らの路地に視線を移すと逃げる男の姿。 「お前らは、先に迎え。俺は後から行く」
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