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「おい待て。そこで何してる?」
「……見つかったか」
「っぶねえ……物騒じゃねぇか」
ガキンッと刀と刀がぶつかり合う。
男が先に抜いたものだからこちらも致し方ないだろう。
「くっ……やるじゃねぇか」
「これでも新撰組副長だからな。簡単に負けちゃ名が廃る」
重い一撃や速い斬撃。
何度も刀を交えていると、こいつが相当な手練れだということがわかった。
だけど俺は、行かなければならない。
ヒューっと花火の上がる音がして、ほんの一瞬だけ男の意識がそちらに向いた。
今だ、と思った。
「だめーーーーっ!!!」
……パァンッ。
辺り一面が赤く染まったのは、花火のせいか。
「よくやった。お前のお陰で俺は逃げられるよ」
「あっ、おい待て! ……ちっ。おい! 大丈夫か!?」
それとも目の前に倒れている女の返り血を浴びたせいなのか。
ぐたりとする女を抱き起こすと、俺の顔からサッと血の気が引いていった。
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