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「土方さんってば! ぼけっと間の抜けた面してないで、もっとよく見ましょうよ」
「……喧しいのはあんま好きじゃねぇんだよ」
「喧嘩はするくせにっ」
ったく……こいつも喧しくて敵わねえ。
「どこ行くんですか?」
「静かなとこ」
「今日はお祭りですよ。花火の音はどこまでも響くんですからね。そんなとこあるわけありませんよ。全く、変な人っ……痛っ! 何するんですか!」
ケラケラと笑う総司のおでこを小突いて腰を上げる。
近藤さんが騒ぐ総司を宥めるのを横目に、河川敷から離れ、町の方へ行く。
祭りのせいか、町へ行っても店は閉まっていて人もまばらだ。
相変わらず花火の音は響いており、普段は真っ暗な空を今日ばかりは明るく染めている。
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