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「ちゃんと会えましたから」
「そうか」
それなら、悲しい顔をした理由は一体何なのか気になってしまうが、そこを突っ込んで聞ける程の間柄ではない。
また、ドンッという音がして夜空にいくつもの花火が上がった。
「……綺麗だな」
花火の事なのか、女の事なのかは自分でもわからない。
ただ夜空に打ち上がる色とりどりの花火と、それを目を輝かせながら見上げて微笑む女を見て、自然と口から出ていた。
空からこちらに視線を移して、目を瞬かせる。
「どっちが?」
「え?」
「花火と私、どっちのことかなって」
「そんなのーー」
パーンッと弾けた音がして、今日一の大きさの花火が上がる。
俺の言葉は花火によってかき消された。
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