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──秋
季節がすぎるのは早い。
俺の余命宣告まであと2ヶ月となっていた。
柚葉から貰ったあの茜色のヨーヨーも、すっかり縮んでしまっていた。
……俺の人生みたいに。
この頃になると焦りが目立つ。
俺の病気は突然死に近いらしい。
前日までは今までと何も変わらず元気であり、次の日の朝一気に全ての機能が低下し、その夜には……
死ぬ。
余命宣告はあくまでも予想なので、確実という訳ではない。それよりも長く生きることもあるし、逆に早く死ぬこともある。
俺はどっちなんだろう。
「朱寧、ご飯」
上の空で窓を見ていた俺に柚葉が話しかける。
「ん、今日も天気いいから屋上な」
「寒いだろ」
「我慢しろ」
「はいはい」
屋上は立ち入り禁止だ。
もちろん鍵だってかかっている。
でも…この季節だけ担当している掃除のおばちゃんが優しくて、昼休みにだけ鍵を貸してくれていた。
屋上での二人っきりのお昼は好きだった。
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