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何気ない会話をしながら屋上までたどり着くと、いつもの位置にお互い座る。 「今日の授業めっちゃ眠かった?!」 とか 「ここの問題意味不明!!」 だとか……普通の男子高校生と変わらない会話をしていれば、いつの間にか食べ物は終わっていることが多い。 それだけで楽しかった。 「あぁ、眠っ」 「寝る?」 「ん?…次の授業サボるか、朱寧」 「仕方ねぇなぁ、サボってやるよ」 「ありがと」 屋上のど真ん中に二人して寝転ぶ。 「なぁ、柚葉」 「ん?」 「寝る前にちょっと話していい?」 「いいよ」 こうやって二人してお昼食べたり、授業サボったり出来るのはもうほとんどない。 俺だって、あと少しで病院詰めだ。 話しておきたいことがあった。 言っておきたいことが。 冬になったら会えるかわからないから。 「柚葉は俺と友達でよかった?」 「いきなり何言い出すんだよ」 「なんとなく聞きたくなったんだよ!察しろ!」 少し間をおいて柚葉は答える。 「よかったに決まってる。朱寧と友達でよかった」 その言葉が脳内にこだまする。 よかった……よかったのか。 俺、柚葉にちゃんと。 「ありがと」 「おう」 友達って思ってくれてるのが嬉しい。 よかったって思ってくれるのが嬉しい。 でも、俺の本心は言えない。
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