Prologue

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何を言われているのかわからなかった。 ただ頭から思考は消え去り、真っ白に染まった。 信じられないとかじゃなくて、わからない。 理解が出来ない。 なんで。 なんで。 ………なんで。 「余命半年です」 頭を何かでガツンと殴られたような衝撃を受ける。 何も考えられないし、言葉も出ない。 は??なんで俺が?! そういうのは俺みたいなキャラがやる事じゃない! 俺が死ぬ??? ありえない。 今だって普通に元気だし、特に変わった所もない。 今日病院に来たのだって、この間の階段から足を滑らせて骨折したところの最終経過を見せに来ただけだ。こんなことを言われるために来たわけじゃない だから、そんなこと…… 「──────」 医者が俺に何かを言っていた。 何も聞き取れない。 全ての音が遮断されて、俺のやけに速い鼓動が吐く息とともに音をなす。 それからも医者は言葉を続けた。 聞きたくないと叫ぶ心が無意識にノイズをかける。 頭は真っ白に染まり、 鼓動はやけにうるさく、 思考は零れ落ちる。 僅かに残る何かから言葉が入ってくる。 聞きたくない。 聞きたくない。 聞きたくない! 心臓が一際跳ねる音が身体を揺らし、世界の音を強制的に俺の耳に入れる。 「はい」 やっと放った言葉は酷く掠れ現実を突きつけた。
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