水曜日

4/4
前へ
/47ページ
次へ
 きつそうな感じの婦人警官の表情がみるみるうちに渋くなった。  本当に渋柿を飲み込んだような顔だ。 「事故なら交通課、事件なら刑事課。ただ、みんな出動してるから、誰もいませんよ」  交通課と刑事課の場所を教えてもらい、おれは階段を上った。  二つの部屋をのぞいたが、誰もいなかった。  おれはあきらめて、警察署を出た。  にわか雨が降ってきた。  紫色の閃光が空を薄明るくしたとたん雷鳴が轟いた。  おれは走ってアパートに戻った。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加