第2火曜日

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    1  鮮やか緑色の広い芝生と咲き乱れる色とりどりの花畑。  柔らかな日差し。  絵本に出てきそうな白い壁の家。屋根はピンク色だ。  風はおだやかだった。  屋外の丸テーブル席。  おれは白い椅子にもたれながら、ひどく甘いミルクティをひとくち飲んだ。  おぼつかない手つきで、麗子がもてなしてくれたのだ。  あの暗欝な場所とはうって変わり、なんとのどかな場所なのだろう。  麗子の心象風景にはこういう空間もあったのだ。 「おじちゃん、ゆっくり休めた?」  少女は生意気そうに言うと、紅茶ポットからカップにミルクティを注いだ。 「ぐっすり寝たよ。ふかふかの布団だった」  半分は嘘だ。ぐっすり寝られるわけがない。 「よかった。だったら、神殿の階段を登っていけるわね。あの花畑の向こう側にお城の塔が見えるでしょ?そこのてっぺんがおじちゃんの本当の世界。紫色の扉があるからそれを開けてね。外に出たら二度とここには戻れない」 「あいつはどうするんだ?トラックの運転手は?」 「なんとかする」 「どうやって」 「これを使うわ」  少女は紫のショールをとりだした。それは大ぶりで、広げると、幼い麗子の体をすっぽりと包んでしまった。 「ショールをあいつにかぶせて燃やしてしまう。そのときにこれも使う」  彼女が手にしていたのは手榴弾だった。  こんな武器をどこから手に入れたのだろう。 「接近戦だな。きついぞ」 「ジュウジュンなフリをする」 「従順!難しい言葉を知ってるな」 「だって勉強してるもん。学校には行けないけどね」 「よし、ふたりでやっつけよう。そうしたら、おれの世界へおいで。入学してランドセルだ」 「だめよ、行けない」 「そう言うと思った。ちょっと待ってろ」  おれは立ち上がると、おとぎ話の家の中に入った。  淡いピンク色に統一された壁に、いろんな武器がたてかけてあり、戦闘用の服がハンガーに吊られていた。  そこの箇所だけ異様な光景だった。  おれは戦闘用のジャケットを着た。ボーガンと矢を背負い、腰には自動式拳銃を、右手に自動小銃、ジャケットの胸には二発の手榴弾をぶらさげる。  全身がずっしりと重くなった。 「凄い、凄い。本物の兵隊さんみたい」  麗子ぱちぱちと手を叩いた。
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