月曜日

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   1  結局、翌朝まで寝込んでしまった。  頭痛の原因になりそうなショールを枕代わりにして、何時間も寝てしまったらしい。  おれは起き上がり、シャワーを浴び、歯を磨き、身支度を整えた。  独り身だから、時間は自由に使える。    おれは表へ出た。  どんよりした雲が垂れている。  雨になるかもしれない。  おにぎりとサンドイッチ、それに飲み物と雑誌を買いに、コンビニまでの通りを歩く。  きょうは一日中家で、ごろごろしてすごすつもりだ。  ガールフレンドもいないし、これといった趣味もない。我ながら、つまらない男なのだ。  コンビニへ行く途中に、昨日のぼろ市会場だった公園広場がある。  そんなに大きな広場ではないが、催し物にはいい按配の広さなのだ。  緑豊かな木々と池。花壇もある。  季節ごとの花で、華やかに彩られる空間だった。  公園の向こう側は、標高わずか100メートルの城山があった。  いちおう街のシンボルだが、登る者はほとんどいない。  頂上まで行っても見晴らしがよくないからだ。見えるのは、ビルの壁ばかりだからである。  だが、今日に限って、城山の方角から子供たちのはしゃぐ声がしきりなしだった。  ときおり甲高い笑い声も交錯する。    公園広場を横目に過ぎようとした時、池のわきで人影が蹲っているのが眼にとまった。  その人影はすぐにころんと横倒しになった。  赤いものが周囲に散っていた。    まさかと思い、おれは駆け寄った。  中年とおぼしき男性が、頭と首から血を流していた。両手で頭を守っていたが、その両手も赤く染まっていた。無数の切り傷が皮膚を抉っている。  眼を見開いた状態だった。  死んでいた。  おれは急いでズボンのポケットに手をつっこんだ。  ケータイをとりだすつもりだった。  ない!  思い出した。家の充電器にセットしたままだったのだ。  回りをみまわした。  公園には誰もいない。  公衆電話を探すか、通りすがりの人間に頼むしかなかった。
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