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………朝だ……。
縁側の窓ガラスが、キラキラと光る朝日を室内に届けてくれていた。
それを布団の中から、私はボンヤリと見ていた。
枕元の携帯を見ると、時刻は5時前。
夏の朝は早い…。
久し振りに、マジマジと実感していた。
やや、放心気味の私は。
そんな爽やかな日常の、素敵な空気を満喫する余裕はなかった。
ゴソッと朝日を避ける様に寝返りを打った。
携帯電話の充電が少ない。今の生活では、あまり活用してなかった携帯。
だが、昨夜はフル稼働していた。
暇に任せて、ネットで遊んだり動画を見ていたのではない。
通話で、喋り倒していたのだ。
つい、さっきまで。
……はぁ…。
小さな溜め息をつく。
でも、マイナスな気持ちから溢れるものではない。
【一息つく】に、近い感覚のもの。
おかしな疲労感を感じていながらも、心はさざ波がたつようにザワザワと揺れていた。
昨日の夜の事を考えると、何だか夢を見ていた?…と思ってしまう私。
時間が過ぎて、明るい世界がやってきたからかもしれない。
夢の終わり…みたいな呆けた脱力感をとにかく感じていた。
昨日、彼とした事を考えると。
急に現実味が薄れてきたというか…。
そんなに、特殊な体験ではないけれど。
ある意味、年頃の人間にとっては【普通】に起こる範疇かもしれないけど。
いざ、個人の…自分の事になると。
かなりのインパクトを禁じ得ない訳で…。
私は、彼と別れた後に。
すぐに東京の親友に連絡をして、電話で朝まで話をしていたのだ。
こんなに、自分の事を真剣に話をしたのは初めてかもしれない…。
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