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キスをした後…。
ゆっくりと唇が、離れ。
暫くお互いに、何も言わずに見詰め合っていた。
軽トラのライトしかない、薄暗い庭先で。
私も、おかしな脱力感に見舞われていた。
感情だけが、激しく揺れ動いていた行動だったけど。キスをしているうちに、そんな余計なものは何も考えられなくなっていた。
だから、そんな感情を全てぶつけた行動の後は…。
場違いに、ふぬけたボンヤリとした状態になっていたのかもしれない。
『……おやすみ。』
彼は囁く様に言うと、少し私から離れた。
『…おやすみ。気を付けてね…。』
車のドアに手をかけた彼に小さく答えた。
『…明日…な。』
明日の約束を確認する様に言った。
私は【うん】と言う様に頷く。
特別な会話はなかった。
彼の車の光が見えなくなるまで、ボンヤリ見ていた。
そして、思い出した様に家の中に入った。
着替えをして、布団をひいて…。
そこまでは、何も考えずに習慣的な行動をとる。
だけど、布団の上に座り。今日の終わりを感じた、変な安堵をおぼえたら…。
急激に、今夜の出来事が頭の中で早送りに再生されて。
それと共に、妙に平静だった心が爆発的に騒ぎだす。
『…キス…しちゃった…。』
まだ、会って間もない相手と。
彼氏でもないし、それに近い相手とも言い難い相手と。
真剣には、真剣な気持ちではあるが。
なんの【前置き】もなく、突然そんな事になった経過を考えると。
非常にど偉い事を、しでかした気分だった。
やはり、キスなる行動は。特別な相手とする事で。
それなりに、下準備というか…。
そういう、流れから導かれる行動ではないか?
特に、最初は!
そんな恋愛マニュアルな発想を抱いていたら。
1人では抱えきれずに、彼女…ミキに連絡をしていたのだ。
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