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『そういえば、神山君てさヒカルの事が好きなんだって!!』
小学校からの親友の翔子が言った。
『嘘!!そんな噂聞いた事ないよ!!』
焦る私。胸がドキドキした。神山君は、学校で席が前の男子。意識してないから、普通に話すが仲がいいわけではない。ただのクラスメートだ。
『確かな情報なんだな。ど~すんの?付き合うの?』せかせかと、聞く親友。
告白もされてないし。
確かな情報ほど、不確かな話はない。それでも、噂が流れた瞬間から世界は変わるものだ。噂から真実になったり。
『だって、大山が好きだからお断りよ。タイプじゃないもん』
お断りもなにも、何も言われてないが勝手な事を話すのが、ガールズトークの醍醐味。
『ふ~ん。神山君…結構モテるんだよ?大山より、ずっとイケてんのに。』
結局、告られず。だが、噂によると真実ではあったようだが。
変に意識して、逆に神山君を無視するようになった。よく考えたら、酷い話だ。
淡い恋愛能力では、こんな行動しかとれなかった。
無意味に、目立つムードメーカーのくせに情けない話だ。
そんな幼稚な恋愛スキルのくせに、友達には偉そうに『大人』みたいな助言をしていた。『正解』だと思っている机上の展開。それでも狭い世界では、十分頼れる人間としていた。
初恋は大山と言って、何する訳でもなく中学を卒業した。あとは、神山君をシカトしたくらい。
恋愛スキル、最低ランク。
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