第1章 にわか雨

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卒業アルバムは、かなりのレア・アイテム。 これだけで、何時間もトークが弾む。今日は私の番だった。毎日、1人ずつ持参して楽しむ。 『ヒカル、ヒカル!!』 『何?』 『この人、友達!?!?』 全員が期待感を持って私に熱視線。 隣のクラスのページじゃない。…誰? 友達が差した指先の人物。 げっ…!! 神山君。忘れかけてた、想い出が蘇る。 『友達ではないけど、知らない訳でもないし…。』 突然の事で、歯切れが悪い返答になる。 今更ながら、懐かしく淡い罪悪感が込み上げた。 『超イケてる~』 『ね~、合コン!!』 『共学!?男子校!?』 『…たしか、共学だけど男子校に近い形態で、○○区の学校だったかな?』 ちなみに、うちの高校から比較的近い場所であった。 イケてるんだ、神山。 悪い気はしなかった。 だが、恋愛系では前に出るタイプではなかったから恥ずかしいエピソードは、自慢する気にはならなかった。ただただ、悪い気はしなかった。 『…連絡は、とれるけど。友達って訳ではなかったから…期待は、しないでよ!!』 これを世間では、安請け合いと言うのだろう。 ついつい、見栄を張ったに近い。 …最悪!!!! あぁ、自分でまいた種とも言うなぁ。
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