第1章 にわか雨

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軽い虚栄心なのか、合コンにこぎつけなければならない使命感にとらわれた。 よく考えたら、別に言い訳や、嘘はいくらでも出来たはずなのだ。 だが、元来…嘘つきタイプではないので真面目に実行を検討していた。 家に帰り、名簿を穴があく勢いで睨み付けていた。 なんて言えばいいんだろう? 急に小さな自分が、顔を出した。今まで、男女問わずにワイワイ出来ていた。 多分、恋愛というジャンルは苦手科目なんだろう。 興味はあるが、体験がなく知らない科目。 人間知らないものを、無意識に避ける場合がある。 多分、そうだったのだろう。 だが、虚栄心が勝ったのか思い切ってダイヤルを押した。 コールの間、留守を願った。そうすれば、相手からあとでかかってくる可能性がある。かかってきたら、普通に話せる気がした。 なんの根拠も、ないが。 『はい、神山です。』 男子の声が、受話器ごしに聞こえた。 かなり、アウトな展開だ。彼、本人が出た。 神山家は、母子家庭で妹がいる。つまり、男子が出た時点で確定だ。 とにかく焦って、言葉が出なかった。 『もしもし?』 切られるか、切るかの選択肢が頭をよぎった。 『もしもし!!お久しぶりです。1年7組でクラスメートだった天城です!!』 かなり、ひく第一声に我ながら目眩を覚えた。 『お…覚えていないなら、いいんだけど!!用事があったけど、大した事じゃないから!!』 …死にたい。 …やだ、激ダサい。
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