1 多島くん、つながれない

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 放課後、商店街のコンビニに行くと、多島くんが待ち構えていた。  由希乃の出勤時と退勤時に会うのが二人の日課だったのだが。 「やあ、由希乃ちゃん」  店先で缶コーヒー片手に由希乃を出迎えた多島くんが声をかけた。   「ども」 「あれ? どうしたの? どっか具合でも悪い?」 「あの、メッセ、見てくれました?」 「えーっと……あ、ああ、あー……ごめん。見てない。昨日遅くまで勉強してたから……」 「そう……ですか。勉強してたんなら、仕方ないですね」 「ごめん、うち帰ったら確認するから」 「…………一言くらい返事くれてもいいのに」 「ごめん、最近あんまり勉強出来なかったんでつい……ごめん」 「……じゃ、そろそろお店行くんで」 「うん、またあとで。由希乃ちゃん」  終始むすっとしたまま、由希乃は本屋へと去っていった。 「まいったな……。俺、やらかした?」  残ったコーヒーを飲み干して、多島くんは空き缶をゴミ箱に放り込んだ。
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