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3 多島くんの時間と私の時間と
「やっぱ……、そうだよね……」
翌朝、多島くんからの返事はなかった。
由希乃からメッセージを送ったわけではないから、返しがないのは当然で。
なのに、なぜか理不尽な気持ちにさせられる。
――多島くんは何も悪いことをしていないのに。
もやもやした気持ちのまま学校に行くと、友達が声をかけてきた。
「まーたイラついた顔してんね、由希乃。あの彼氏のこと? 返事くれないとか」
「え? あ、いや……そういうわけじゃ、ないんだけど……。一応返事は来たんだけど……メッセージとかそういうの慣れてないっていうか……」
スマホの中の多島くんと、普段の多島くん。
あまりにもギャップがありすぎて、そっちの意味でももやもやしてしまう。
なにか、自分が全く知らない顔があるような、そんな。
「あのさあ、由希乃のこと、あんまちゃんと考えてくれてないんじゃないの?」
「そんなことないよ! 毎日、顔は合わせてるし……いつも私が来るの待っててくれるし……」
「ふうむ……ま、がんばって。結局自分でどーにかするしかないわけだし」
「そ、そうだね、ありがと……」
(自分で、どうにか、って言っても……。
でも、このままじゃ私も多島さんもどうにかなっちゃいそうだし)
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