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放課後。
由希乃が、バイト前にいつものコンビニに寄ると、店頭で缶コーヒー片手に毎日自分を待っている多島くんがいない。
「どうしたんだろ……こんなの初めてだよ」
自分が困らせたせいなのか、もう愛想つかされたのか、でもだったらあんなラブレター送ってこないだろうし――と、頭の中がゴチャゴチャになってくる。
「どうしよう……いじわるしたからかな……」
不安を抱えたまま、走って弁当屋まで来ると、
「あ! いた!」
カウンターの中に多島くんが。
慌てて店内に入ると、少し照れくさそうに声をかけてきた。
「やあ、おつかれ。ごめんね、叔父さんがちょっと留守だから店あけられなくて」
「なんだあ……むっちゃ心配して損したあああ」
「俺のこと? ごめんね。叔母さんが具合悪くて、叔父さんが病院に連れて行ってるんだよ」
「そう……」
「ん、どうかした? 麦茶でも飲む?」
「いらない」
「まだ機嫌直らない? プリン食う?」
「それ売り物でしょ」
「俺のおごりで」
結局由希乃はプリンで餌付けされてしまった。
「ねえ……由希乃ちゃん」
「なんですか(もぐもぐ)」
「どうしたら機嫌直してくれる?」
「……そういう、問題じゃ……ないし……」
「じゃあどういう問題? やっぱ具合悪いの?」
「ちがうし」
「あのメッセージでは伝わらなかったのかな……。正直、何が正解か分からないんだ。頼むから、教えてよ」
「つ、伝わったというか……まあ、伝わって……るけど」
「足りなかった?」
「わ、わたしだって、わかんないし! どうしてこんな……わかんないし……」
由希乃は泣きながら飛び出して、向かいの本屋に駆け込んでいった。
正直、多島くんの愛が重すぎる由希乃だった。
「マジかよ……。もう、俺の方が泣きたいよ」
途方に暮れつつ、由希乃が半分残したプリンを急いで掻き込む多島くんだった。
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