第一章 クローン法

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車のドアが開き、橘が出ると目の前には自由党と書かれた重厚な看板にその後ろには推定二十階建て程のビルがそびえたっていた。 続けて桜木が降りてきて橘の後に続いた。 歩いていくと、入り口と書かれた壁があり、橘と桜木はその壁がないように真っ直ぐに進み、最終的にすり抜けて行くように建物内へ消えていった。 建物内のエントランスには一人として人間がおらず、円形のエントランス内に二人の足音だけが響く。 円形のエントランスの中心にエレベーターらしきものがあり、二人はそこに乗り込む。 「おはようございます橘流星(たちばなりゅうせい)クローン法推進大臣、おはようございます桜木楓(さくらぎかえで)秘書官。本日は第二十一会議室にてクローン法検討委員会となっております」 エレベーターらしきものが動きだすと同時にその中に機械音で音声が流れる。 エレベーターらしきものの中はぼたんらしきものは何もなく無機質な白い箱だった。 「この音声ガイド、毎回フルネームを言わないと気がすまないらしいな」
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