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「それは、あなた方の身勝手な研究が生み出した産物に過ぎませんか?!」
記者の一人が柊所長に噛みつく。
すると、クローンの柊所長がメガネを取り、白衣で乱雑に拭きまたかけ直してから口を開いた。
『あなた方と言っている時点で私の存在を認めていることになりませんか?』
その記者は全く反論ができずに固まってしまった。
その記者を畳み掛けるようにクローンの柊所長は話を続ける。
『私はこの通りなんの障害もなく無事に生きています。彼のクローンとして生まれたことに誇りすら感じています。そして、私を罰する権利は誰が持っているのか? いや、我々といった方が正しいでしょう』
記者達のひそひそ話が次第に大きくなり、収集が付かない寸前まで声のトーンが上がる。
「我々というのはお二人の柊所長のことをおっしゃられているのでしょうか!?」
ざわつく会場の中、記者の質問が飛ぶ。
『いいえ、我々です』
クローンの柊所長がそう言うと、記者会見場の柊所長がいる横の扉が開き、一人一人入ってきた。
いや、一人一人入ってきたというよりか二人ずつ同じ顔がペアで入ってきた。
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