僕を見下ろす花火の熱さを

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「…………前にも言ったでしょ。……例えば誰かがオレのこと好きになったとしたって、……オレは颯真が好きなんだから」  普段なら絶対言わないような照れ臭くて気障な台詞を、だけど颯真を安心させたいためだけに呟く。颯真ならこういう時、びっくりするくらい真っ直ぐな目でオレを見つめてくれるけど、さすがにそこまではオレには無理で。  微妙に視線を外して紡いだ台詞に自分の方が照れてドキドキしながら颯真を伺えば、一応納得してくれたらしい颯真がいつもの顔で笑い返してくれたことにホッとして、照れ臭さを隠すように話題を逸らした。 「すっごい人だね、ビックリした」 「ホントに。こんなに人が来てたら、ホテルが埋まるのも納得だね」  来年はもっと早く動かなきゃねと、当然のことみたいに未来の約束をくれる颯真の優しさと信頼が、切ないくらいに嬉しくて、だけど胸が苦しくて頷くことしかできない。  そんなオレを優しく見つめて微笑(わら)った颯真が、ぱふっとオレの頭を撫でて手を差し出してくれる。 「行こ」 「……手……?」 「はぐれたら困るからね」 「……」 「言ってるでしょ、いつも。誰に見られたって恥ずかしくないって」 「……ん」「見せびらかしたいんだって、言ってるでしょ」  そう言って笑った颯真は、結局勝手にオレの手を取って駅の出口へ向かった。  *****
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