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────翌日。まだ、桜の花が咲いている春の町並みを、いつものように通って学校へ行く。
だけど、今日の香織は佑真が死んでしまって以降、初めてと言っていいくらい、心が弾んでいる。
昨日は結局、お互い初めましてということで、メッセージを送り合った。
だって、死んでしまった人からメッセージが来るなんてあり得ないでしょ?
それでも香織の気持ちは、晴れやかだった。
アプリ内だけのやり取りだけど、鈴木 佑真と名乗る彼の文面からは、なんとなく佑真と被る部分があったからだ。
本当は違っていても、それでもいい。
二年間、孤独だった香織にとって、何処と無く佑真の面影を感じられるだけで、嬉かったのだ。
そして、香織は毎日彼とのメッセージを楽しんだ。
彼とのやり取りは、何故か香織の事ばかりを気遣うようなものばかりで、彼の事は殆ど話して貰えないけど、それでも良かった。
そんなやり取りが、二週間ほど続いた頃だろうか、いつもと違うメッセージの内容に、香織の胸は大きく音を鳴らした。
“会いたい”
その一言だけ。
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