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香織は、動揺を隠せない。彼と会うという想像さえ、したことないのに。
それに、もしも全く違う人だったら──・・
別人だと思っていても、メッセージのやり取りの中で佑真と重ねていた香織にとって、現実を知る事は何よりも怖い。
いつもなら直ぐに返信するのに、香織の文字を打つ手は躊躇している。
香織は、自分を落ち着かせる為に深呼吸をすると、自室のベッドへ腰を落とした。
改めてメッセージを作成しようとした時、Rencontreからの通知音が鳴る。
そして、メッセージ画面を開くと、せっかく落ち着けた気持ちに、強い波紋を打つ。
“5月3日に会いたい”
5月3日───・・
その日は、私の二十歳の誕生日。
─────佑真?
ふと、脳裏を横切る佑真の笑顔。
香織は、歳は公開しているが生年月日は公開していない。
だからきっと、ただの偶然に違いない。
そうじゃないというなら、何だと言うのだろうか?
気付くと
“私も会いたいです”
そうメッセージを送っていた────
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